• 紛争/ウクライナ(2022~)

ウクライナ人道危機を支える様々な活動

マリウポリ。
2022年3月、突如として聞き慣れない都市名が世界中の人々に知れ渡ることになりました。同年2月24日に激化したロシアとウクライナの武力紛争で、一般市民がこの街に取り残され地域外への脱出を試みていました。その際に救出作戦の中心を担ったのが赤十字国際委員会(ICRC)です。

マリウポリ脱出の中心を担った赤十字国際委員会

4月5日、ICRCはマリウポリに隣接する都市ベルジャンシクから、1000人以上の避難者が乗るバスと自家用車の車列を、約200キロ離れたザポリージャまで先導。このときの避難希望者のほとんどが、自力でマリウポリから脱出してきた市民でした。できるだけ多くの避難者をバスに乗せるため、バスの通路に夜通し立ったままの人もいました。

医療活動にとどまらない赤十字の支援

ウクライナでの人道危機が発生して以来、マリウポリに限らず多くの街の住民が、断腸の思いで故郷を離れています。ウクライナの人口の3分の1にあたる1400万人以上が住むところを追われているのです。東部ハルキウからウジュホロドに家族と一緒に避難したのはインナさん。
「私たちは7人を乗せた車でハルキウを出発しました。着ていた服だけ、荷物は何も持たずに飛び出してきました。私たちが今持っているものはすべてウジュホロドの赤十字のボランティアから提供されたものです。この箱の中には洗剤、石鹸、シャンプー、トイレットペーパー、歯磨き粉、使い捨てのカミソリ、その他の衛生用品が揃っています。中でも特にありがたいものは洗剤です」
赤十字の支援は医療だけにとどまらず、食料や水はもちろんのこと衣服や毛布、そして最新情報を入手し、離れた所にいても家族や友人とつながりを保てるよう、外国でも使えるスマートフォンのSIMカードなどの物資供給も行っており、多くの避難民に役立ててもらっています。

ウジュホロドに避難したインナさん

国外に避難する家族も多くいます。特に隣国ポーランドには多くのウクライナ住民が避難。そんな避難民を支えるべく赤十字では居住支援も行っています。クラクフ近くのポーランド赤十字社の宿舎で暮らしているヴァレンティナさんと娘のナターシャさん親子もそのうちのひと組。
「明日がどうなるのかわからない悲しみと恐怖のこの苦しい時間の中で、今ここで過ごすことができていることにありがたさを感じています。そして、とても重要な仕事をしている赤十字に感謝しています」と語ります。

ポーランドに避難したヴァレンティナさん(右)と娘のナターシャさん(左)

各国赤十字・赤新月社を支えるボランティア

避難民をサポートする側の各国赤十字・赤新月社は、ボランティアによって支えられています。ポーランド赤十字社の医師・アレサンドラさんもボランティアとして活動。一時避難所で医療を提供しています。
「このような状況下で人びとが助けを必要としている中、自分にできることとしてボランティアすることに迷いはありませんでした」
今この瞬間も多くの避難民が故郷に無事戻れることを祈り続けています。

ポーランド赤十字社ボランティア アレサンドラ医師

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